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東京高等裁判所 昭和25年(う)1862号 判決

被告人

長次郎こと

日暮長次郎

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人外池簾治控訴趣意第二点について。

被告人が所論のように本件の一度も使用された形跡のない衣料品を公認の古物市場で新品以下の価格で買うのだから何等配給割当公文書を要しない「古物」だと思つて取引したとしても、右は犯罪の構成に必要な事実の認識に何等欠くるところがなく、唯法律の解釈を誤つて其の行為を違法でないと信じたと謂うに止まるから所論は結局刑法第三十八条第三項に所謂法律の不知に当り犯意を阻却しないものと解するのを相当とする。従つて原審が右に対し判決に何等の判断を示さず又刑を減軽しなかつたことは相当であつて論旨は理由がない。

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